帯状疱疹について解説

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発症する疾患で、皮膚症状だけでなく神経症状も強く関与するのが特徴です。以下に、帯状疱疹の主な神経症状について詳しく説明します。


帯状疱疹による神経症状の概要

1. 急性期の神経痛

帯状疱疹は、皮膚に発疹が現れる前から、神経の走行に沿った激しい痛み(神経痛)を生じます。
この痛みは、以下のような特徴を持ちます。

  • 焼けるような痛み
  • 刺すような鋭い痛み
  • 電気が走るような痛み

※皮膚症状が出る数日前から痛みが始まることがあり、間違って他の病気と診断されることもあります。


2. 皮疹出現後の神経症状

皮膚に水疱ができると、その部位の感覚過敏やしびれ、ヒリヒリ感が強く現れます。

  • 触れただけで強い痛み(アロディニア)
  • しびれ
  • 感覚異常

これらはウイルスが神経節に炎症を起こすことが原因です。


3. 帯状疱疹後神経痛(PHN)

皮膚症状が治った後も長期間続く慢性の神経痛が「帯状疱疹後神経痛(Postherpetic Neuralgia: PHN)」です。

特徴

  • 痛みが3か月以上続く
  • 高齢者ほど発症しやすい
  • 痛みの程度は非常に強いことが多い

痛みの種類

  • 焼けるような痛み
  • 刺すような痛み
  • 鈍い痛み

生活への影響

  • 睡眠障害
  • うつ症状
  • QOL(生活の質)の著しい低下

4. 合併する神経障害

場合によっては、以下の神経症状も発症します。

顔面神経麻痺(ラムゼイ・ハント症候群)

  • 帯状疱疹が耳周囲で発生した場合に起こる
  • 顔面麻痺、めまい、難聴、耳鳴りが現れる

眼神経麻痺

  • 帯状疱疹が眼の周囲で起きた場合に視力障害、角膜炎を引き起こす

自律神経障害

  • 発汗異常
  • 排尿障害
  • 消化管の運動障害

1. ✅【急性期は絶対にマッサージ禁止】

急性期とは?

  • 発疹や水疱が出現している時期
  • 強い痛みや神経炎が生じている時期

禁止の理由

  • ウイルスが活発に増殖している
  • 皮膚に水疱や潰瘍があり、刺激を加えると炎症が悪化
  • 神経が過敏になっており、少しの刺激でも激痛を誘発する可能性
  • マッサージによってウイルスが周囲に拡散するリスクもわずかに存在

📌 結論:急性期は絶対に触れてはいけない。


2. ✅【皮膚症状が治まった後でも慎重に】

慢性期(帯状疱疹後神経痛期)

  • 発疹が治癒し、皮膚が乾燥し瘢痕化した後
  • それでも痛みが残っている場合が多い(帯状疱疹後神経痛)

マッサージの注意点

  • 患部には直接触れないことが基本
  • 刺激が強いと神経痛を悪化させる
  • マッサージは患部を避け、周辺の筋肉を優しくケアする程度に留める
  • 強い圧迫・揉みほぐしは厳禁

📌 結論:マッサージ可能なのは、皮膚が完全に治癒し、かつ医師の許可があった場合に限る。


3. ✅【マッサージのリスク】

リスク項目内容
痛みの悪化神経が過敏になっているため、軽い刺激でも強い痛みを誘発する可能性
ウイルス拡散皮膚に傷がある場合、ウイルスが他部位に広がるリスク
感染の危険二次感染のリスクが高まる

4. ✅【マッサージ再開のタイミング】

再開の目安

  • 皮膚症状が完全に治癒している
  • 医師から「マッサージを行って良い」と許可を得た場合
  • 痛みが落ち着いている場合(帯状疱疹後神経痛の症状が軽度)

具体的な注意点

  • 優しいタッチのリラクゼーションマッサージから始める
  • 痛みがある場合はその都度中止する
  • ホットパックや軽いストレッチなど、非刺激的な方法を優先する

5. ✅【帯状疱疹のマッサージが許されるケース】

状態マッサージ可否
急性期(皮疹あり)❌ 絶対禁止
慢性期(皮疹なし・医師許可あり)△ 患部を避けた優しいケアのみ
完全回復後(痛みなし)◎ 基本的に可能

6. ✅【推奨される代替ケア】

帯状疱疹の時は、無理にマッサージをせず、以下の方法を推奨します。

  • 温熱療法(温める):血流を改善し痛みを緩和
  • 軽いストレッチ:筋肉の過緊張を和らげる
  • 深呼吸・リラックス法:自律神経を整える
  • 医師の指示に基づくリハビリ

7. ✅【患者と施術者の確認事項】

  • 帯状疱疹の既往があることを必ず事前に伝える
  • 現在の皮膚・神経症状を確認する
  • 医師にマッサージの可否を確認する
  • 少しでも痛みを感じた場合は施術を中止する

🔍 まとめ

項目内容
急性期絶対にマッサージ禁止
慢性期医師の許可があれば可能(患部を避ける)
リスク痛み悪化、感染拡大、神経障害悪化
推奨ケア温熱、ストレッチ、リラクゼーション
必須確認医師の確認、患者の感覚確認